曙酒造合資会社 福島県河沼郡会津坂下町  
「天明」 純米本生無濾過
 

始発の東京行きの新幹線に乗り、東北新幹線に乗り換え、
磐越西線で会津若松へ。
そこからバスで30分くらいで到着です。

福島県という土地もはじめて行くところでしたので、
見るものすべてに興味があって、バスの窓ごしに見た商店街は、
古さとおしゃれなところがうまく共存しているなぁっていう感じでした。
あっ、そうそう会津でバスが来るまで少し時間があったので、
うどんでもすすろうと思ってバスの待合所で、
売店と軽食屋が一緒になった場所でうどんを頼んで食べていたら、
そこのおばちゃんが気さくな人で、さぶいギャグをやたらとばしてくるんです、
まいったと言う感じでした。

バスを降りて蔵はすぐのところだったのですが時間がちょうど12時半、
お昼どきで、まずいなぁと思ったのですが、
時間をつぶすようなところもなく、
挙動不審の私があまりうろうろするわけにもいかず、蔵に伺いました。

「失礼します」と言うと奥から「はーい」と声がして、かわいらしい感じの女性が出てみえました。
「お昼どきにすいません名古屋の柴田です」
すると、「いえいえもうすみましたのでどうぞ」とのことでちょっとほっとしました。
そして、社長様(お母さま)と御挨拶をしました。さっきの女性はというと
社長の娘さんで、奥様であり製造責任者であられました。
そう、ここは女性がお酒を醸していらっしゃるのです。
そして最後に販売責任者でもある御主人様がお見えになり御挨拶しました。
(これがやさしそうな男前なんだわ)
それで自店のこと、自分のこと、また蔵のことなどもろもろお話をさせていただきました。

暫くして、お酒を持ってみえて、利き酒をさせてもらいました。
感想を求められたので正直に答えました。
「 ふくんだときは女性らしいやさしさにあふれているのですが
飲み込むと奥様の芯の強さだとか意地みたいなものが出ていますね」
って。
そこで私は御主人に何か物に例えると何だと思いますか?と訪ねました。
ちょっと迷ったあげくに出た答えは、
「形の悪いオレンジかな? 」
その心は、「見かけは悪いが食べてみるといい味してます」だって。
思わず 座ぶとん一枚!…とは言えませんでした。
確かに食べながら飲むと威力を発揮する味わいあるお酒です。

その後、蔵を案内してもらいました、歴史を感じる古い造りでした。
でもお金をかけずに、あるもので上手くしてらっしゃると感じました。
立派だったのは「槽」と呼ばれる酒を搾る機械が2機あったこと。壮観でした。

「2週間後に横浜まで行くので、時間が許せば名古屋まで伺います」
とのことで、その日は帰りました。
ただ、私としては酒も人柄も気に入りましたので、御縁がありましたら
おつき合いをよろしくお願いします、とお伝えしてしてきました。

2週間後の夜、店の留守番電話に
「 曙酒造ですが明日、朝伺います」と入っていました。
すごくうれしくて、本当に来てくれるなんて!って思いました。
そしたら、その留守伝を聞いて暫くしたら「こんばんわ」って
曙酒造の御夫婦がお見えになってびっくりです。
「明日じゃなかったの? 」って尋ねたらどこか食事するところ無いかと思って、
うろうろするより聞いたほうが早いと思って来ました、とのこと。
そんでもって泊まるところも決めてないだって。
いつも取れなければ車で寝るからだって。
慌てて泊まるところを手配して、食事は居酒屋でよければということで
一緒にいくことにしました。

でもこうして、名古屋で一緒に飲めるとは2週間前には
考えもしませんでしたのでうれしかったです。
その日は楽しい時間を過ごしました。
明日の朝改めて伺います、とのことでその日は終わりました。
翌日、今さら「遠いところよくおいで下さいました」…もなく、
当店をみていただき、お話をしました。

最後に蔵元さんのほうから「是非、うちのお酒をお願いします」というお言葉をいただきました。
そして奥様が「これで、また名古屋に来る楽しみができました」っておっしゃってくれたとき、
またいい出会いが出来、いい蔵元さんといいお酒とおつき合いできるなぁって、
そしてこの蔵元とお酒を名古屋の多くの人に御紹介したいなぁって、心に刻みました。