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2月19日 日曜日

名鉄名古屋駅ホームにて

今日は、「義侠」をつくっている 山忠本家酒造におじゃまします。
山忠本家酒造は、愛知県の西部にある愛西市に本社があります。

蔵元見学ツアー、今回は19名の参加者でいざ出発です!
まずは名鉄名古屋駅から津島駅行きの電車に乗ります。


名鉄津島駅到着

25分ほど電車に揺られて、最寄り駅である名鉄津島駅に到着です。

今日は風がありちょっと肌寒いです。
お酒は醗酵に適した冬場に造られるため、
まさに酒造りにピッタリの気温だと感じられます。


電車を降りると資料の入った紙袋を手にシバタくんが話し始めます。
話によると、ここからタクシーで山忠本家に移動するようです。


続々とタクシーに乗車していきます。

取材班と同じタクシーに、以前銘酒会に参加された方が乗車しました。

同乗したお二人にお話を聞いたところ飲食店を経営されているそうです。

「銘酒会は人間観察ができる面白い場所なので、
これからもどんどん参加したいです。」とおっしゃっていました。

銘酒会について話しているうちに、山忠本家が見えてきました。


山忠本家到着


タクシーを降り、中に入ると巨大な蔵があります。

社員さんの案内で正面にある和風作りの会議室に案内されます。

会議室の中では、社長さん自らシバタくんたちの到着を待っておられました。
こちらが山忠本家酒造株式会社社長の山田 明洋さんです。

山忠本家酒造は基本的に社員さんのみで酒造りを行っています。
自社の人間で酒造りをする事で味を安定させます。

現在の酒造業界は一つの酒が売れるとその作り方に習って酒を造るため、似た様な味になってしまっているようです。
そのため 人と違う物を造らないとやっていけないと考えています。

山田社長の酒造業界に対する情熱は想像以上です。

―米へのこだわり―
現在使われている山田錦を使う以前は広島の米を使用していたが、
兵庫の山田錦にかなう物がないという事で変更したという事です。

―酒造業界への情熱―
山田社長は自社の酒だけでなく、業界全体の問題も考えています。
山田社長の業界に対する理想は「味が違っていて、飲んだらどこの蔵の物か分かること。」だと語ります。

山田社長は、約30分間に渡り自社のこだわりと、酒造業界について熱く語って下さいました。
そのあつい情熱と夢を聞いていたら、こだわりのお酒が飲みたくなってきました。

お話を聞いている間に蔵元見学の準備が整ったようです。


蔵元見学開始


酒蔵見学は杜氏の杉村 洋さんが案内して下さいました。

初めに精米所を見せていただきます。
精米所では米の周りの糠(ぬか)部分を削り取る作業をします。

大きな扉を開けると、大きな機械が目の前にあります!
これは精米機です。

山忠本家酒造では米の産地、品種、生産者にこだわりがあり精米も自社精米をしています。
使う米は兵庫県加東郡東条町特A区の山田錦です。

杉村さんは、お酒に利用されている米の精米歩合について教えてくださいました。

精米には30%の場合約一週間、40%の場合三日間、50%で二日間、
60%になると18時間で仕上がるそうです。


また、精米後に玄米から削られた糠は仲介業者が回収していくそうです。

精米歩合(せいまいぶあい)とは白米の玄米に対する重量の割合。
例えば精米歩合60%の場合、玄米の表層部を40%削り取る事をいいます。


説明が終わると質問コーナーです。

参加者の質問:「米を磨いていく原理は?」
杉村さん:「昇降機で持ち上げて混合ロールと呼ばれる砥石に滑り落とすと、米が転がりながら研がれてゆきます。」

参加者の質問:「この精米機はいつ頃から使っているのですか?」
杉村さん:「昭和の中頃から使用している古い物もあります。
古いとそれだけ機械が米に慣れているので、多少効率が悪くてもまだまだ現役で使います。」

精米所の見学も終わり、酒を造っている別の建物に移動します。
移動した先には中にお米が入った入れ物がいくつも置かれています。

杉村さんがおっしゃるには平成17年物を精製して枯らしさせているそうです。

枯らしとは…お米は精米すると水分が奪われます。
水分が少ないと米が割れて使い物にならなくなるため、空気中からの水分を戻します。
その水分を戻す事を枯らしといいます。

枯らしが終わるとお米を洗います。
洗い方は蔵によって様々な方法があるそうですが、こちらでは10kgづつ手でもみ洗いをしています。

枯らしの説明の後、お米の蒸し機を見せていただきました。

蒸し機で40分ほど米を蒸し上げると、掛け米(かけまい)麹米(こうじまい)ができるそうです。

掛け米とは仕込の際に、醪(もろみ)を増量するときに使用する蒸米のことです。
麹米は麹造りに必要なお米です。

蒸しが終わるとは麹米を室に運び、掛け米を自然の冷気で冷やします。

次は仕込み作業に移ります。
仕込みは麹米と掛け米を混ぜて約25日作業します。
添え→踊り(仕込み休み)→仲→留の三段仕込みです。
これは酵母を増やすため、有害菌が増えないように三度に分けて仕込むものです。
そうする事により、やっと醪ができます。

その後階段を上り麹の見学です。
麹の香りを嗅がせていただきます。

麹の香りは甘く、香りを嗅いでいるだけでほろ酔い気分になります。

今度は新酒の香りに酔いしれながら、一階奥の搾り場に移動します。
搾り場にはなにやらカーテンの様な物がついた機械があります。

このカーテン状の物はなんとヤブタ式搾り機だそうです。

続いて吟醸酒の仕込みを見学するため、別の建物に移動します。
吟醸酒は、特殊な物なので「吟醸蔵」で仕込まれます。

大きな門構えに続き、さらに表札の大きさに驚かされます。
中に進むと酒を搾るための槽(ふね)と呼ばれる機材と搾り機が置いてあります。


もろみを10kgほど袋に入れ、槽に積み重ね搾り機で圧力をかけ、出てきた物を採取します。(第31回なごやか銘酒会参照


その後は搾った酒をタルに入れ、滓(おり)引きし、清酒となり出荷するそうですが、
物によっては火入れをする事もあるそうです。

火入れとは出来上がった酒が腐敗しないためと、貯蔵中の品質の劣化を防ぐために火を加える事です。


お楽しみ試飲会

場所を移動して皆さんお楽しみの試飲のお時間になりました。
「本日は(精米歩合)50%と40%の物を飲んでいただきます。」と杉村さん。

精米歩合の割合を変えると味わいが変わります。

18本もの種類を用意してくださいました。
中には40%、50%まで磨いた特別栽培米で造られたお酒もあります。


まずこの利猪口(ききぢょこ)にお酒をついで色と透明度を見ます。
濁りがなく水のように澄みきっています!

色ツヤを確認。


精米歩合、仕込みタンクが異なるため1本1本味が違います。

皆さんに感想を聞くと…
「全体的に軽くて飲みやすい。」
「他の酒とは後味が違う。」
「味がしっかりしている。」
どうやら皆さん大満足のよう。


社長への質問

試飲後、先ほどの会議室に戻り再び山田社長とお話しする機会がありました。
今回は皆さんの質問に答えていただきました。

参加者の質問:「ブレンドについて教えてください。」
ブレンドとはお酒とお酒を組み合わせて新しいお酒を造る事です。
山田社長:「ブレンドすればよい物ができるとは限りません。これは私も(ブレンドが)うまくできないと悩みますよ。
何日も引きこもって酒を飲まないといけないのが辛くて…(笑)、いい物と悪い物をあわせると悪い物になりやすいんです。」

その後精米の話になり

山田社長:「自社精米をしているところは少なく、業者に依頼しているところが多いようです。
大変ですが、そうする事によってその年の米の癖が分かります。そのため酒を造る側にしてみればプラスになるんです。」

参加者の質問:「酒の名前の由来を教えてください。」
山田社長:「私の独断と偏見で付けています(笑)本当は名前をつけるのが苦手なので、
漢字辞典や辞書などを引いて良い字を選んで決めています。」

また奥様が文字を一枚一枚書いているラベルもあるそうです。

いろいろお話を聞いていると、あっという間に帰りの時間になってしまいました。
帰り際には山田社長自ら見送りにきていただきました。


山忠本家酒造のみなさま、ありがとうございました!

次回も皆様の参加お待ちしております!

もちろん銘酒会もよろしくお願いします!


前回の『蔵元見学』の様子を知りたい方はこちら!
→第1回『蔵元見学』
『なごやか銘酒会』の様子を知りたい方はこちら!
→第32回『なごやか銘酒会』
→第31回『なごやか銘酒会』
→第30回『なごやか銘酒会』
→第29回『なごやか銘酒会』
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→第21回『なごやか銘酒会』