悩んだ3年間

さて、自店に帰ってきたのが24歳の時、当然いろんな修行を終え、
希望に満ちてやる気満々!といったとこでありました。
しかし、まず思ったことが
何て暇な店なんだろう?ということでした。
修行先の店の忙しさに慣れてしまっていたせいもあったと思いますが、
時間がありすぎてしまって何をやろうかと考え、
とりあえず店のプライスカードを全部書き直すところから始めました。
当時は一般酒販店で、何の特徴があるわけでもない店でした。
それから社長の仕事を覚え、配達に付いていったりしていました。
また当時は、ワインブームでもありましたので
ワインの品揃えを増やしたりしていました。
2年目に入り地酒にも力を入れていかなきゃと思い、
日本名門酒会に入ろうかと問い合わせをしたところノルマがあり、
とてもじゃないけどその時の私にはそれをこなす売り先もないので、
とりあえず問屋から入手できる地酒を
北から南とずらーっと並べました。
 並べたことに自己満足して
ほくそえんでいたことを思い出します。
しかし、ただ置いていても売れるわけでもなし日付けは古くなるし
という具合で 、マンネリの毎日が続きました。
だんだん社長は楽になるばかりで
「 俺は何の為に帰ってきたのだろう」
「俺は社長の手伝いの為に帰ってきたわけじゃない」
店のプラスアルファーにならなくてはいけない、
そうでなければ店の発展もないって強く思うようになりました。
じゃあ具体的に何をしていいのか?
いわゆる店の方向性がありませんでしたから、
考えなくちゃと思いました。そんな時、酒の学校時代、
一番仲のよかった彼のお店を訪ねました。
そこには、今も私の理想の店と言っても過言ではない
楽しい店がありました。
こんな店にしたいなぁってカルチャーショックをうけました。
そして、彼のおやっさんにこれからの酒屋について
深夜まで話していただき、勉強させていただきました。
その時、出された一本の地酒を飲んだ時、
初めてうまい酒だなぁって思い、蔵回りについても教えてもらいました。
この時飲んだ酒が私の初めての蔵元直仕入れの酒でした。
その酒はあまり売っていないのですが今も思い入れ深い銘柄です。
それからというものいろんな有名蔵元へ行ったり地酒屋さんで
お話を聞かせてもらったりしました。
そして、とある酒屋さんの試飲会に出席させてもらうことになりこれが、
私のターニングポイント
になったように思います。私もいろんな地酒屋さんに行って
お話を伺いましたがみんな自分のことばっかり、
酒をひとりじめしたいタイプの方ばかりでした。
でも、その酒屋さんは違いました。
名古屋は遅れている、だからみんなで、特に君たち若手ががんばれと。
そして待っていても酒は売れない、だから飲食店開拓も必要だ。
責めの商売をしなくてはいけない。などなど話してくれました。